高血圧 high blood pressure

高血圧について

心臓から送り出された血液が、動脈の内壁を押す圧力のことを血圧といいます。高血圧とは、文字通り血圧が高い状態になってしまう病気です。初期の段階ではほとんど自覚症状がみられませんが、長期にわたって血管が張りつめた状態が続くと、血管は次第に厚くなり、内径が狭くなります。血管の弾力性も失われていくので、次第に動脈硬化が進行していきます。血管内部にコレステロールなどが付着すると、さらに血管が狭くなってしまい、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などで生命の危機に陥ることもあります。

高血圧の診断基準

外来時の血圧測定において、最高血圧（収縮期血圧）が140mmHg以上、もしくは最低血圧（拡張期血圧）が90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。ただし、1度の測定ではなく、同条件下で繰り返し測定した上で、確定診断を行います。なお、ご家庭で測定した際に最高血圧が135mmHg以上、あるいは最低血圧が85mmHg以上となったときにも、高血圧と診断する場合があります。

高血圧のタイプ

高血圧には、「二次性高血圧」と「本態性高血圧」のふたつがあります。このうち二次性高血圧は、腎臓疾患や副腎疾患、甲状腺疾患、睡眠時無呼吸症候群など、別の病気が原因で血圧が上昇するものです。これに対し、本態性高血圧は、生活習慣に起因すると考えられているもので、高血圧の患者様全体の9割を占めているとされています。はっきりとした原因は特定されていませんが、遺伝的要因に加え、食生活や運動不足などの環境的要因が重なって引き起こされると考えられています。

本態性高血圧の原因

本態性高血圧を引き起こす明確な原因は分かっていませんが、普段の食生活が大きく関係しているといわれています。とくに、塩分の多い食事には注意が必要です。塩分の摂取量が多くなると、血圧が高くなってしまうのです。また、お酒の飲み過ぎも高血圧の原因となります。タバコに関していうと、高血圧だけでなく様々な病気のリスクを高めてしまうので、なるべく早い段階で禁煙するようにしてください。このほか、運動不足の方も、高血圧になりやすいので、毎日の運動を欠かさないことが大切です。具体的には、下表のような生活習慣を目指してください。

このような生活習慣を目指してください

主な治療法

高血圧の治療の目的は、血圧をコントロールし、重篤な合併症を防ぐことにあります。そのため、食事療法や運動療法が必要になります。食事面では、とくに塩分の摂取量に気をつけます。具体的には、1日あたりの摂取量を6g程度にします。一般的な定食やラーメン、丼ものは1食だけで6g程度の塩分が含まれているので、なかなか達成が厳しい目標なのですが、味付けを工夫するなどして慣れるようにします。また、カリウムが含まれる野菜や果物を摂取し、利尿作用を利用して体内の塩分を排出することも大切です。肥満の方の場合、心臓の負担を減らすためにも減量に努めるようにしてください。

運動療法では、息が弾む程度の有酸素運動を取り入れます。ジョギングやスイミングなどを毎日30分程度は続けることにより、血圧を下げる効果が期待できます。なお、食事療法や運動療法だけでは高血圧が改善しないときは、血圧を下げるための薬物療法を行います。