高尿酸血症（痛風） hyperuricemia

高尿酸血症（痛風）について

私たちの血液に含まれている「尿酸」という成分は、水に溶けにくい性質を持っています。そのため、血液中で必要以上に尿酸が増えると、針状の結晶を伴う尿酸塩となって、体の様々な部位に蓄積するようになります。
これが関節付近に溜まると、炎症と激しい痛みが伴う発作が起きるようになります。こうした状態のことを「痛風」と呼んでいます。とくに、足の親指の付け根近くが痛くなるケースが多いです。

なお、血液に含まれる尿酸の割合のことを「尿酸値」といいます。この数値が7.0mg/dL以上になると、高尿酸血症と診断されます。このような状態の患者様は、痛風を発症することがよくあります。発作が起きなかったとしても、放置を続けると痛風結節、尿路結石、腎臓の障害などの合併症が起きるようになります。

主な原因

高尿酸血症の主な原因としては、体内で尿酸が多く産生されることが考えられます。尿酸の原料となるプリン体は、豚や牛などレバー類、魚卵、イワシ、カツオ、大正エビ、干椎茸などに多く含まれています。こうした食品を過剰摂取すると、高尿酸血症のリスクが高まります。ビールなどのアルコール飲料を飲み過ぎる方も尿酸値が上がります。このほか、先天性の代謝異常や造血器疾患の患者様も尿酸が高くなることがあります。

なお、体内での尿酸産生が多くならなかったとしても、尿酸の排泄が悪い方は高尿酸血症になります。
遺伝的要因のある患者様、腎機能が低下している患者様も要注意です。過度の運動をされる方、水分補給が不十分な方も、一時的に尿酸値が高くなることがあります。肥満の方の場合、複合的な要因で尿酸値が上昇するので、体重のコントロールをご検討ください。

生活習慣の見直しが重要です

高尿酸血症を予防するには、日頃から生活習慣を見直すことが大切です。下表のような生活を心がけ、尿酸値が上がらないよう工夫してください。

高尿酸血症の治療

患者様のタイプにもよりますが、まずは食生活を見直すようにします。プリン体を摂取し過ぎると、高尿酸血症になりやすいので、こうした食品を制限します。鶏卵や魚卵、レバー類などはプリン体が高めなので、摂り過ぎないようにします。ただし、肉類などの摂取量を減らし過ぎると、ほかの病気のリスクが高まることがあります。食事の見直しを行う際には、まず医師の診察を受け、具体的な食事メニューなどのアドバイスを受けるようにしてください。

また、尿酸の排泄を促すため、水分をしっかりとるようにします。さらに、ウォーキングやサイクリングなど軽めの有酸素運動を行います。なお、負荷が強めの運動、とくに無酸素運動をすると尿酸値が高くなりやすいので、ご注意ください。なお、食事療法や運動療法のみでは効果が不十分な場合、痛風や腎臓結石などを繰り返している場合は、お薬による治療が必要になります。具体的には、尿酸の排泄を促進するお薬、尿酸の生成を抑制するお薬などがあるので、患者様のタイプを見極めたうえで処方いたします。